go-ts-modeでgofmt(goimports)の設定を修正した

TL;DR Go開発をgo-ts-mode(tree-sitterベース)に寄せたら、問題が発生していた。 1つ目: gofmt(goimportsで代替)を実行した直後は正しく整列されているのに、TABキーを1回押すとインデントが縮む。 2つ目: before-save-hookにgofmt-before-saveを登録しても、保存時に一切フォーマットされない。しかもエラーは出ない。 両方とも「go-mode.el(tree-sitter以前のパッケージ)がgo-ts-modeの存在を想定していない」ことが根っこの原因だった。 環境 Emacs、Go開発はgo-ts-mode(tree-sitterベース)を使用 OS: Arch Linux gofmt-commandは"goimports"に上書き設定(gofmtの代わりにgoimportsを使う) 対象ファイル例: internal/api/server.go(構造体フィールドやjsonタグを縦に整列させるコードスタイル) 試したこと 症状1: 手動でTABキーを押すとインデントが縮む 手動でM-x gofmtを実行して整形した直後のファイルは正しく整列されているが、既存行にカーソルを置いてTABキーを押すと、その行のインデントが浅くなる。 思い出したがこれはかなり前から存在してる不備だ。 ちょうどよかったのでここで直してみよう。 切り分けは以下の手順で進めた。 M-x describe-variable RET indent-tabs-mode RET → 値はt。タブを使う設定として正常。 対象行の文字をC-u C-x =で確認 → タブ文字であることを確認(Char: TAB)。 タブの表示幅を疑い、行頭でタブ1個分右に移動してからC-x = → column=8。tab-widthも8(Emacsのデフォルト)。表示幅そのものは正常。 「短くなった行」と「正常に見える上の行」でM-m(back-to-indentation)からのC-x =を比較 → 両方column=16で一致。インデント幅そのものは揃っていた。 ここで「タブ幅の表示問題ではない」と判明。 真因は次の通り。gofmtは構造体フィールドやjsonタグを縦に整列させるために、構文的に必要な数以上のタブを意図的に挿入する(整列目的の余分なタブ)。一方go-ts-modeはtree-sitterによる構文解析で「その行の構文的必要インデント深さ」だけを計算し、TABキー押下時に行頭の空白をその計算値に置き換える。gofmtが足した「整列用の余分なタブ」は構文的には不要なので、go-ts-modeがそれを認識せず削ってしまう。 これはEmacs設定のバグではなく仕様通りの動作だ。go-ts-modeには「整列のための余分な空白」を認識する機能がそもそもない。 調査の途中で、副原因ももう1つ見つかった。go-ts-mode-indent-offsetが4に設定されていた。 (use-package treesit :straight (:type built-in) :config (setq treesit-font-lock-level 4) (setq go-ts-mode-indent-offset 4)) go-ts-mode-indent-offset = 4だと「1インデントレベル=4列」で計算される。一方tab-widthはEmacsデフォルトの8のまま。gofmtの出力は「1インデントレベル=タブ1個(実質8列相当)」が前提なので、この不一致でTABキー押下時の再インデント計算が4列刻みでずれる。 対処はgo-ts-mode-indent-offsetをtab-widthと同じ値に揃えるだけ。 ;; 変更前 (setq go-ts-mode-indent-offset 4) ;; 変更後(効果確認済み) (setq go-ts-mode-indent-offset 8) これで症状は解消した。 ...

July 18, 2026 · 2 min

EmacsのTRAMPで多段SSH越しにファイルを開いた話

きっかけ 作業機Aで書いたEmacsの設定はそのままに、B経由でCにあるファイルを直接開きたくなった。CにEmacsを立てるほどでもないし、B自体も経由するだけの踏み台。よくある構成だと思う。 「TRAMPで多段SSHすれば一発で開けるはず」という認識だけはあったので、記憶を頼りに適当な構文を書いたら普通に動かなかった。 最初に書いた(間違った)構文 C-x C-f /ssh:userB@B:/ssh:userC@C:/path/to/file RET コロン区切りでリモートパスを入れ子にすれば多段になるだろう、という思い込みで書いたが、これは単に存在しないパスとして扱われて開けない。 正しい構文: パイプ区切り 調べ直すと、現行のTRAMP(Ad-hoc multi-hops)では各ホップを | で連結する仕様になっていた。 各プロキシはファイル名部分を除いたリモートホスト指定と同じ構文で指定し、ホップごとに | で区切って、起点ホストから最終目的地までを連結する、という説明になっている1。 C-x C-f /ssh:userB@B|ssh:userC@C:/path/to/file RET パスの : は最後のホップにだけ付く。それ以前のホップは | で単純に繋げるだけでよかった。 dired でディレクトリブラウズしたい場合も同じ構文でいける。 C-x d /ssh:userB@B|ssh:userC@C:/path/to/dir RET 一度使うと短縮形が使えるようになる TRAMPはこのアドホックな多段定義を、そのEmacsセッション中は tramp-default-proxies-alist に一時的なレコードとして追加する。そのため同じセッション内であれば、以降は /ssh:you@remotehost:/path という単純な形式だけで同じリモートホストに再接続できるようになる1。 セッションをまたいで使い回したい場合は tramp-save-ad-hoc-proxies を非nilにしておけば、設定ファイル側に多段定義そのものが保存される1。 ついでにsudoも同じノリで組める C上でrootが必要な作業をしたい場合、sudo を最後のホップとして追加するだけでよい。 C-x C-f /ssh:userB@B|ssh:userC@C|sudo:root@C:/path/to/file RET su、sudo、doas、run0 のようなメソッドを別ホスト上で実行したい場合、先頭にsshなどのメソッドを組み合わせて使う。つまりTRAMPはまず非管理者権限でそのホストに接続し、そのあとでそのホスト上で管理者権限に切り替える、という2段階の動作になっている1。 現在開いているバッファをそのままsudo権限で開き直したいだけなら、tramp-revert-buffer-with-sudo というコマンドが用意されている2。ファイルを開き直すたびにパスを書き直さなくていいので、これが一番出番が多いかもしれない。 M-x tramp-revert-buffer-with-sudo RET まとめ TRAMPの多段SSHは、以前は tramp-default-proxies-alist を事前に設定しておく必要があったが、Emacs 24以降は設定なしでその場でパイプ区切りの多段パスを書くだけで通るようになっている3。この「昔の記憶のまま新しい仕様を疑わなかった」せいで無駄にハマったので、次から多段SSH系のパスを書くときは一旦マニュアルを見に行くことにする。 Ad-hoc multi-hops (TRAMP User Manual) ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ TRAMP 2.8.1 User Manual ↩︎ TRAMP - WikEmacs ↩︎

July 13, 2026 · 1 min

vtermのC-kバインドを追いかけていたらEatに移行することになった話

vterm -> eatした理由 vtermでC-hとかは動いたけどC-kがうまく動かなかった。 色々ガチャガチャやってたけどだるくなったときにeatというものを知ったので試してみたところ、 ターミナルとして要求していたことをほぼ達成できたため、移行することにした。 EmacsのターミナルエミュレーターをvtermからEatに移行しました | Ki_chi@Blog 今回のEat移行の設定はこの記事を参考にした。本当に感謝。 また、これまで利用していたvtermについても感謝を伝えたい。恐らく要求されることはできたとは思うが、私の熱量が足りないためにそれを実現できなかったと見ている。 発端: vtermのC-kが動かない vtermで以下のような設定を書いていた。 (defun my/vterm-send-C-k () "Send C-k to vterm terminal." (interactive) (let ((inhibit-read-only t)) (vterm-send-key "k" nil nil t))) (use-package vterm :bind (:map vterm-mode-map ("C-h" . vterm--self-insert) ("C-k" . my/vterm-send-C-k)) :config (setq vterm-term-environment-variable "xterm-256color")) C-hは狙い通り動くのにC-kだけBuffer is read-onlyエラーで弾かれる。 最初は「vterm-keymap-exceptionsのデフォルトにC-kが含まれているせいだろう」と当たりをつけたが、実際にvtermのソースを確認したところこれは誤りだった。デフォルトの除外リストは以下で、C-kは含まれていない。 '("C-c" "C-x" "C-u" "C-g" "C-h" "C-l" "M-x" "M-o" "C-y" "M-y") さらにvterm-send-key自体の実装を見ると、関数内部でinhibit-read-onlyを自前でletしている。つまりmy/vterm-send-C-kが本当に呼ばれているなら、read-onlyエラーはそもそも起きようがない。 ということは、C-kは自分が定義した関数にディスパッチされておらず、別の何か(kill-lineのような通常のEmacs編集コマンドなど)が割り込んでいることになる。C-h k C-kで実際の解決結果を確認すれば犯人は分かるはずだが、ここまで調べた時点で「そもそもvtermをやめてEatに乗り換える」という選択肢が視野に入ってきたので、根本原因の特定は一旦保留にした。 なぜEatなのか そもそもvtermのキーマップあれこれで詰まってしまったのがすべてではあるが、後付の理由もあって、 Eatは実装がすべてEmacs Lispで完結している点は素晴らしいと思う。コンパイル済みモジュールに依存しないので初期でcmakeを要求されたりしない。所詮cmakeかつlibvtermのため、ほとんどの環境で動作するとは思うが、個人的にはElispオンリーというのは少し惹かれた。 逆に怖いところ GitHub - akermu/emacs-libvterm: Emacs libvterm integration · GitHub akib/emacs-eat: Emulate A Terminal, in a region, in a buffer and in Eshell - Codeberg.org ...

July 4, 2026 · 2 min

svg-line: EmacsのステータスバーをSVGで統一する試み

元記事 svg-line: Better Status Bars for Emacs Emacsのmode-line、header-line、tab-bar、tab-lineはそれぞれネイティブAPIレベルで挙動が違い、多段表示・右寄せ・アイコン・マウスイベントの扱いがバラバラという問題がある。svg-lineはこれらをSVG画像として描画することで挙動を統一するパッケージ。 SVGにすることで座標ベースのマウスイベント検出ができるのも地味に大きい。ネイティブAPIだとクリックやホバーが*-lineごとに対応がバラバラだったのが一気に解決される。 この記事に触発されて私も少し触ってみようと思った。 あわよくばこのまま置き換えてもいいかとも思う。 やったこと 既存パッケージの整理 svg-lineを試すために一旦以下を削除・調整した。 nyan-mode → 削除 minions → 削除 spacious-padding → :mode-line-widthの行だけ削除(他の余白設定は残す) svg-lineの導入 (use-package svg-line :straight (:host github :repo "chiply/svg-line")) mode-lineを書いてみた 最小構成から始めて、バッファ名・git branch・メジャーモード・マイナーモード・行列数の2行構成を目指した。 (svg-line-define 'my-mode-line :target 'mode-line :active #'mode-line-window-selected-p :background (lambda () (face-background 'mode-line nil t)) :foreground (lambda () (face-foreground 'mode-line nil t)) :content (lambda () (list (list :left (list (if (buffer-modified-p) "● " " ") (buffer-name)) :right (list (or (and (fboundp 'vc-git--symbolic-ref) (buffer-file-name) (vc-git--symbolic-ref (buffer-file-name))) ""))) (cons (list (symbol-name major-mode)) (list (format-mode-line "%l:%c")))))) (svg-line-activate 'my-mode-line) シンプルにはなったが、やはりnyan-modeがないとさみしい。 ...

June 9, 2026 · 1 min

Emacs 30.2 で *-ts-mode が壊れる問題と対処

結論 Mike Olson - Fixing typescript-ts-mode in Emacs 30.2 上記のブログで解説と対応スクリプトが公開されてる。 Emacs 30.2 + libtree-sitter 0.26 の組み合わせで go-ts-mode や typescript-ts-mode などの *-ts-mode が動作しない場合、現時点(2026年4月)では以下のワークアラウンドで動作させることができる。 現時点ではこれが最適解と思う。おそらくEmacs 31 安定版がリリースされるまでこのスクリプトを使い続けることになる。 mkdir -p ~/.emacs.d/init curl -o ~/.emacs.d/init/treesit-predicate-rewrite.el \ https://raw.githubusercontent.com/mwolson/emacs-shared/master/init/treesit-predicate-rewrite.el init.el の早い段階(他の *-ts-mode の設定より前)に追加する。 (load "~/.emacs.d/init/treesit-predicate-rewrite" nil nil nil t) 経緯 go-ts-mode を開いたとき *Messages* バッファに treesit-query-error が出てシンタックスハイライトが死んだ。 最初はグラマーの .so ファイルが原因だと思い、treesit-install-language-grammar で入れ直したり、~/.emacs.d/tree-sitter/ 以下のファイルを削除して再インストールしたりと試行錯誤した。しかし何をやっても症状が変わらず、グラマー側の問題ではないと判断した。 調べたところ Emacs bug#79687 に行き着いた。グラマーの問題ではなく、Emacs 30.2 と libtree-sitter 0.26 の組み合わせ自体が壊れていた。 症状 Emacs 30.2 で Go や TypeScript などのファイルを開くと、*Messages* バッファに以下のようなエラーが表示され、シンタックスハイライトが一切効かなくなる。 Error during redisplay: (jit-lock-function 35) signaled (treesit-query-error "Syntax error at" 73 "(call_expression function: ((identifier) @font-lock-builtin-face (#match \"...\" @font-lock-builtin-face)))" "Debug the query with `treesit-query-validate'") go-ts-mode だけでなく typescript-ts-mode、python-ts-mode、rust-ts-mode など、tree-sitter ベースの全モードで同様の問題が発生する。 ...

April 23, 2026 · 2 min

EmacsでGoのLsp補完が死んだときの調査記録

症状 Emacsで .go ファイルを開くと以下のログが無限ループする。 [eglot] Asking EGLOT (mydns/(go-ts-mode go-mod-ts-mode)) politely to terminate [jsonrpc] Server exited with status 2 [eglot] Reconnected! [eglot] Connected! Server 'gopls' now managing '(go-ts-mode go-mod-ts-mode)' buffers in project 'mydns'. [jsonrpc] (warning) Sentinel for EGLOT (...) still hasn't run, deleting it! [jsonrpc] Server exited with status 9 [eglot] Reconnected! [2 times] Error running timer: (error "Selecting deleted buffer") status 9 は SIGKILL。gopls が起動→即死→reconnect を繰り返し、補完が一切効かない状態。 fmt. と打っても候補が出ない、もしくは関係のないゴミ候補が出る。手動で M-x completion-at-point を叩いても No match。 ...

March 21, 2026 · 2 min

Emacsのdotfilesをモジュール化してメンテナンス性を向上させた話

背景 約900行に肥大化したmypackage.elを整理し、機能ごとにファイル分割してメンテナンス性を向上させるリファクタリングを実施した。 課題 単一ファイルの肥大化: mypackage.elが900行超えで見通しが悪い 機密情報の混在: API keyがコード内に散在 使っていない設定: コメントアウトされた設定が残存 パッケージの把握困難: 何を使っているか不明瞭 新しいディレクトリ構成 dotfiles/emacs/ ├── init.el # エントリーポイント ├── early-init.el # 起動高速化 ├── core/ │ ├── env.el # 環境変数・基本設定 │ ├── custom.el # UI基本設定 │ ├── keymap.el # キーバインド │ └── util.el # ユーティリティ関数 ├── packages/ │ ├── manager.el # straight.el設定 │ ├── core.el # 基盤パッケージ │ ├── completion.el # 補完系 (Vertico, Corfu) │ ├── search.el # 検索系 (Consult, Embark) │ ├── git.el # Magit等 │ ├── lsp.el # Eglot等 │ ├── languages.el # 言語別設定 │ ├── ai.el # GPTel, Ollama │ ├── writing.el # Denote, Org, Markdown │ ├── ui.el # テーマ、アイコン │ └── optional.el # たまに使うもの ├── templates/ # Tempelテンプレート └── docs/ └── README.md 重要な学び: require vs load 問題: requireでパッケージが読み込まれない 当初、init.elで(require 'completion)のように読み込んでいたが、以下の問題が発生: ...

February 6, 2026 · 3 min