モダンオペレーティングシステム 第3章中盤メモ

モダンオペレーティングシステム 第5版 上 第3章中盤(3.3後半〜3.5)。ページテーブルの実装とTLB、ページ置き換えアルゴリズム。 3.3後半 ページテーブルの実装 多段ページテーブル 仮想アドレス空間が64bitの場合、単純なページテーブルは現実的じゃない。 理論上の最大:2^64 = 18,446,744,073,709,551,616 バイト 1ページ = 4KB = 4096バイト ページ数 = 2^64 / 2^12 = 2^52 個 1エントリ = 8バイトとして ページテーブルのサイズ = 2^52 × 8 = 32ペタバイト プロセス1個のページテーブルだけで32PB。話にならない。 実際のx86_64は64bitフルを使わず48bitに妥協している(一部の最新CPUは57bit)。64bitフルを使うと6〜7段の階層が必要になりメモリアクセスのオーバーヘッドが耐えられなくなるから。「理論上の最大は64bitだけど、現実のCPUは48bitに妥協している」という設計判断。 Linuxはこれを多段ページテーブルで解決してる。x86_64では4段構成。 仮想アドレス(48bit有効) ┌──────┬──────┬──────┬──────┬────────────┐ │ PGD │ PUD │ PMD │ PTE │ offset │ │ 9bit │ 9bit │ 9bit │ 9bit │ 12bit │ └──────┴──────┴──────┴──────┴────────────┘ 名前は覚えなくていい。住所の階層構造だと思えばいい。 東京都 → PGD(一番大きい区分) 渋谷区 → PUD 代々木1丁目 → PMD 1番地 → PTE 101号室 → offset(ページ内の位置) ポイントは使っていない部分のテーブルを作らないこと。 ...

May 10, 2026 · 4 min

モダンオペレーティングシステム 第3章後半メモ

モダンオペレーティングシステム 第5版 上 第3章後半(3.6〜3.8)。実装上の課題、セグメンテーション、そしてCPU脆弱性とOSの関係。 3.6 実装上の課題 OSがページングに関わるタイミング ページング処理はいつ動くか。 【プロセス生成時】 → 新しいページテーブルを作る → ディスクからプログラムをロードする準備 【プロセス実行時】 → TLBミス → ページテーブルをたどる → ページフォルト → ページを物理メモリに載せる 【プロセス終了時】 → ページテーブルを解放 → 物理フレームを解放 → ディスク上のスワップ領域を解放 【コンテキストスイッチ時】 → ページテーブルの切り替え → TLBフラッシュ or ASID切り替え k3sでPodが終了した時: コンテナプロセス終了 → カーネルがページテーブル解放 → 物理フレーム解放 → 次のPodがそのフレームを使える 命令の再実行問題 ページフォルトが起きた時、フォルトした命令を再実行する。でもここに厄介な問題がある。 メモリのコピー命令(100番地→200番地にコピー) 実行途中の150番地でページフォルト ↓ 100〜149はすでにコピー済み ↓ 命令を再実行 ↓ 100〜149を二重にコピー → 壊れる 対処法 方法1: 命令実行前に全ページが存在するか先読みチェック → なければ先にページフォルトを起こしておく → 全部揃ってから命令実行(x86寄りの方式) 方法2: CPUが内部状態を保存 → どこまで実行したか記録 → 再開時はその続きから(一部のRISCの方式) ページのロック(ピン留め) I/O処理中のページは絶対に追い出せない。 DMA転送中 → デバイスが直接メモリに書き込んでる → このページを追い出したら → デバイスが存在しないメモリに書き込む → 最悪システムクラッシュ だからI/O中のページには**ロック(ピン留め)**をかける。置き換えアルゴリズムの対象外になり、I/O完了後にロック解除。 ...

May 10, 2026 · 3 min

モダンオペレーティングシステム 第3章前半メモ

モダンオペレーティングシステム 第5版 上 第3章前半(3.1〜3.3)。メモリ管理の基本。 第3章前半 メモリ管理の基礎 ベースレジスタとリミットレジスタ CPUのハードウェアレジスタを使ったシンプルなメモリ保護の仕組み。 プログラムがメモリにロードされる ↓ ベースレジスタ ← プログラムの開始物理アドレス リミットレジスタ ← プログラムの長さ ↓ プロセスがメモリにアクセスするたびに ↓ CPUがアクセスアドレス + ベース値を自動加算 ↓ リミットを超えてないか同時チェック ↓ 超えてたらフォールト(アクセス中断) これによってプロセスAはプロセスBのメモリに触れない。CPUレベルで物理的にブロックしてる。 ProxmoxのVM(KVM)との絡み KVMの場合はベース/リミットだけじゃなく、**EPT(Extended Page Table)**というIntel VT-xの機能でさらに一段上の分離をしてる。 ゲストの仮想アドレス ↓ ゲストのページテーブル ↓ ゲストの物理アドレス(実はまだ仮想) ↓ EPT(ここがKVMの追加レイヤー) ↓ 本当の物理アドレス これをネストされたページングと呼ぶ。ゲストOSごとに完全に別の物理アドレス空間にマッピングされるので、VM同士はお互いのメモリに絶対アクセスできない。 EPTはソフトウェアじゃなくてCPUがハードウェアで変換するので速い。 KVMに必要なCPU機能 KVMは以下のCPU機能が必須: CPU 仮想化支援機能 Intel VT-x AMD AMD-V(SVM) ARM(ラズパイ4等) ARMv8 Virtualization Extensions BIOSでVT-xが無効になってるとKVMが動かない。ProxmoxでVM作れないエラーの原因の大半がこれ。 MacのDockerが遅かった理由もここ Intel Mac時代 → HyperKitでソフトウェア仮想化 → 遅い・重い Apple Silicon(M1〜) → ARMのVirtualization Extensions使える → ハードウェア仮想化 → 速い M1でDockerが速くなったのはApple SiliconがARMの仮想化支援機能をちゃんと使えるようになったから。ただしARMなのでx86イメージは--platform=linux/amd64でエミュレーションになり遅い。 ...

May 2, 2026 · 2 min

モダンオペレーティングシステム 第1章・第2章メモ

モダンオペレーティングシステム 第5版 上 読んでる。 読み進めた記事というよりは範囲の中でわからんとこを生成AIと相談しながら文章課題とか出してもらいつつ進めたものをまとめた記事。 第1章 序論 OSの2つの役割 OSには2つの顔がある。 1. 拡張マシン(Extended Machine) ハードウェアの複雑さを隠蔽する。アプリ開発者はディスクの物理構造を知らなくてもファイルを読み書きできる。Docker APIがLinuxの複雑さを隠すのと同じ発想。 2. リソースマネージャー(Resource Manager) CPU・メモリ・ディスク・ネットワークを複数プロセスに割り当てる。k3s schedulerがNodeのリソースをPodに割り当てるのと同じ役割。 k3s scheduler → OSのリソースマネージャーと同じ役割 Docker API → OSの拡張マシンと同じ役割 OSがやってることをk3sやDockerが上位レイヤーで再現している。 ユーザー空間とカーネル空間 ┌─────────────────────────────┐ │ ユーザー空間 │ │ Docker、アプリ、k3s、etc... │ │ → 直接ハードウェアは触れない │ └──────────┬──────────────────┘ │ システムコール(唯一の通路) ┌──────────▼──────────────────┐ │ カーネル空間 │ │ スケジューラ │ │ メモリ管理 │ │ ファイルシステム │ │ デバイスドライバ │ │ → ハードウェアを直接触れる │ └─────────────────────────────┘ アプリが直接ハードウェアを触れたら危険。カーネルが仲介することで安全性を保証する。 システムコール docker runした時の実際の流れ: docker run ubuntu ↓ Dockerデーモン ↓ clone() ← プロセス生成 unshare() ← namespaceを作る mount() ← ファイルシステムをマウント ↓ Linuxカーネル Dockerはシステムコールの集合体。魔法じゃなくてLinuxのシステムコールをうまく組み合わせてるだけ。 ...

April 26, 2026 · 3 min

歴史地図アプリを雑にk3sへデプロイした

歴史地図アプリの構成 React + TypeScript + Vite + MapLibre GL のSPA。歴史的国境データ(GeoJSON)を表示するアプリ。 データはpublic/data/以下にGeoJSONを置く構成で、.gitignoreに含めているためリポジトリには入っていない。 ちなみに、生成するスクリプトはあるが、GEMINIを利用しないといけない。 しかし、APIキーのレート制限が入ってしまったので、ローカルで生成済みのデータを持ち込むことにした。 インフラ構成 自宅のProxmox上にLXCコンテナとしてk3sクラスタを構築している。マスター1台+ノード1台の最小構成。 外部公開はNginx Proxy Manager(NPM)でポートフォワーディングしており、DuckDNSのドメインにSSL終端している。 インターネット ↓ Nginx Proxy Manager(SSL終端) ↓ k3s NodePort ↓ Pod 問題:データファイルをどう持ち込むか public/data/がgitignoreされているため、コンテナ内でgit cloneしてもデータが存在しない。 選択肢はいくつかあったが、今回はk3sのhostPathボリュームでマウントする方針にした。 だるいファイル転送 データファイルをk3sノードに転送するのが一番面倒だった。 Proxmoxのファイルアップロード → UIの制限でNG ngrok経由 → Tailscale環境のためlocalhostの名前解決失敗 結局TailscaleのIPでProxmoxホストに転送 → pct pushでLXCコンテナへ # ProxmoxホストからLXCへ pct push <CTID> /path/to/data.tar.gz /tmp/data.tar.gz # k3sマスターで解凍 mkdir -p /opt/history-map-data tar -xzf /tmp/data.tar.gz -C /opt/history-map-data 融通の効かないViteとふわふわClaude君の罠 npm run previewはデフォルトで許可ホストを制限する。Nginx Proxy Manager経由でアクセスするとBlocked requestが出る。 環境変数で全許可とかできたらよかったけど、結論だけ言うとできなかった。少なくともClaude君の指示では何をどうしても駄目だったので、最終的にvite.config.tsをデプロイ時に動的に書き換えることで回避した。 cat > /app/vite.config.ts << 'EOF' import { defineConfig } from 'vite' import react from '@vitejs/plugin-react' export default defineConfig({ plugins: [react()], preview: { allowedHosts: ['your-domain.example.com'], }, }) EOF 最終的なYAML apiVersion: apps/v1 kind: Deployment metadata: name: history-map spec: replicas: 1 selector: matchLabels: app: history-map template: metadata: labels: app: history-map spec: nodeName: k3s-master containers: - name: history-map image: node:20-alpine workingDir: /app command: ["sh", "-c"] args: - | apk add --no-cache git git clone https://github.com/wasuken/history-map-app.git /app --depth=1 cat > /app/vite.config.ts << 'EOF' import { defineConfig } from 'vite' import react from '@vitejs/plugin-react' export default defineConfig({ plugins: [react()], preview: { allowedHosts: ['your-domain.example.com'], }, }) EOF mkdir -p /app/public/data cp -r /data/historical /app/public/data/historical cp -r /data/modern /app/public/data/modern cp /data/translation-cache.json /app/public/data/translation-cache.json npm install npx vite build npm run preview -- --host 0.0.0.0 --port 3000 ports: - containerPort: 3000 volumeMounts: - name: map-data mountPath: /data volumes: - name: map-data hostPath: path: /opt/history-map-data type: Directory --- apiVersion: v1 kind: Service metadata: name: history-map-service spec: selector: app: history-map ports: - port: 80 targetPort: 3000 nodePort: 30080 type: NodePort nodeName: k3s-masterを指定しているのはhostPathがPodの動くノード上に存在する必要があるため。ProxmoxのNPM(Nginx Proxy Manager)から このNodePortに向けてプロキシを設定している。 ...

February 25, 2026 · 2 min

K3s実験環境構築マニュアル:安全に実験→破壊→復元のサイクルを回す

Proxmox上のK3s環境で安全に実験・破壊・復元サイクルを回すための完全ガイド

January 19, 2026 · 4 min

k3s + Drone CI/CD構築体験記② 手動ビルドでなんとか動いた

前回のハマり話の続編。 今回は実際にCI/CDパイプラインを動かすところまで進めた。結論から言うと、自動化は99%完成したが、最後の1%(Webhook)で詰んだ。 目標設定 理想は当然これ: GitHub push → Drone検知 → Hugo自動ビルド → Dockerイメージ作成 → k3sデプロイ更新 ただし、私の環境には致命的な制約がある。 制約:外部IP持ってない 自宅サーバーはTailscaleでVPN経由でのみアクセス可能。つまりGitHubからのWebhookが届かない。まあ、DuckDNSでドメインは取ってるけど、それでもTailscale依存の構成。 それでも「やれるとこまでやってみよう」精神で進めた。 .drone.yml 設定 最終的にはこんな感じになった: kind: pipeline type: kubernetes name: hugo-pipeline steps: - name: build-hugo image: klakegg/hugo:latest commands: - cd posts - hugo --minify - ls -la public/ - name: create-docker-context image: alpine:latest commands: - cp -r posts/public ./public - ls -la public/ - name: docker-build image: plugins/docker settings: registry: ghcr.io repo: ghcr.io/wasuken/tech_blog username: from_secret: github_username password: from_secret: github_token tags: - latest - "${DRONE_COMMIT_SHA:0:8}" - name: deploy-to-k3s image: bitnami/kubectl environment: KUBECONFIG: from_secret: kubeconfig commands: - kubectl set image deployment/hugo-site hugo=ghcr.io/wasuken/tech_blog:latest - kubectl rollout status deployment/hugo-site - name: deploy-complete image: alpine:latest commands: - echo "Hugo build complete!" - echo "Image pushed successfully" ポイントは、HugoビルドからDockerイメージ作成、GHCR(GitHub Container Registry)へのプッシュ、最終的なk3sデプロイまで全部自動化したこと。 ...

January 1, 2026 · 2 min